UiPathでは業種に特化した交流会も企画しています。2022年7月20日、大手町ファーストスクエアカンファレンスにて「製造ユーザー会」が開催されました。
当日はリアル、オンライン合わせて100名を超えるユーザーが参加。製造業におけるRPAのトレンドや、導入事例などについてのディスカッションが行われました。
「製造ユーザー会は、みなさまが主役です」
開会の挨拶で登壇したのは、エンタープライズビジネス営業本部本部長の川本昇一。「試行錯誤の過程やノウハウを共有いただくとこで、現在お持ちの課題の解決や、今後の展望にお役立ちいただけるような、そんな会になればと思います」と挨拶しました。
続いて、RPAの世界のトレンドについて発表したのはUiPath Global Manufacturing LeadのSebastian Seutterです。「製造業がどのようにしてサステナビリティを加速させ、課題を解決していくのか、非常に注目を集めています。ロボットを導入し、業務のオートメーション化や作業時間の短縮を行えば、コンピューターの消費エネルギーを削減できます。また、これまで紙や資源を使用していた業務も、自動化によってペーパーレスの作業環境を実現し、環境負荷の軽減ができると考えています」
さらに、Sebastian Seutterはサプライチェーンについても言及。「今後は商品や製品が消費者の手元に届くまでの調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れにも、革命が起こるでしょう。それは地理的な問題だけでなく、貿易や投資も含めた産業全体のイノベーションとなり、製造業で働く人々を力づけます」と、調達業務を自動化させたクライアントを例に挙げました。
ここで、ユーザーから「サプライチェーンの改革を是非とも行いたいが、RPAを導入する際、まだまだ対象が個人の業務の自動化に閉じてしまいがち。業務プロセス全体を自動化するにはどうすればいいか」というご質問をいただきました。Sebastian Seutterは以下のように回答しました。
①サプライチェーンの要素を分解する
まずは、一連の流れの中でも、調達、調達のマネジメントを行う部門など、部分ごとに分けて自動化を計画することが必要です。そしてそこから、各部門のスペシャリストと協力し、例えば調達部門であれば、商品の分類や性能チェック、供給交渉や発注業務のオートメーション化など、実現したいことを考えていきましょう。
②KPIを可視化する
サプライチェーンに携わる人は、評価指標を重要視します。在庫回転率などの数値を計測し、自動化によってどれくらいの効果が得られたのか、目で見てわかるようにしましょう。
③プロセスオーナーを立てる
在庫レベルを下げれば「売り逃し」が発生してしまうように、何かを始めると何かを失ってしまうもの。KPIの目標値など、あらかじめゴールを決めておくことが重要です。そのためには、全体のバランスを見て意思決定ができる人、つまり、プロセスオーナーが必要となります。プロセスオーナーは、社内の人でも外部のコンサルタントでも構いません。
続いて執り行われたパネルディスカッションでは、JFEスチール株式会社の遠藤渉氏、三菱マテリアル株式会社の長澤貴哉氏、株式会社リコーの塩谷晴久氏の3名にご登壇いただきました。
JFEスチール株式会社は2018年度より「巧い(うまい)×疾い(はやい)×易い(やすい)」をスローガンに、RPAに関する取り組みを推進しています。21年度には、RPAを自主開発する人材育成にも着手し、現在では465業務の自動化(内、100業務が自主開発)を実現しています。
「投資効果が出にくかったり、業務の変更頻度が高かったりといった理由でこれまでRPA化を断念していた“小粒”の案件からロボットの自主開発を始めました。自主開発を行う際には、RPA推進を運営する事務局、RPAを自主開発する開発者、そしてその上長の3名で『三者面談』を実施しています。そこでは事務局が開発者に自動化したい業務についてヒアリングし、『その業務なら、このような手段で開発してはどうか』などといった提案も行います。上長が同席することで、部下が抱えている業務量や、自動化についての理解が深まり、結果、就業時間中にRPA導入の時間を確保してもらいやすくなるんです」(遠藤氏)
2021年度、RPAを導入したことで1万6,000時間の時間創出を実現した三菱マテリアル株式会社。自動化事例として「工程リードタイム分析ロボット」について発表しました。
「作業着手から完了までの所要時間を計測する際、従来行っていた手動の方法では8時間ほど要していました。データのダウンロードや処理、インプットなどにどうしても時間がかかってしまうんです。その一連の流れを、RPAを使って自動化することで、30分に短縮することができました。分析資料作成の属人化を防ぎ、ヒューマンエラーといったミスも発生しません。所要時間が短くなったことで、これまでは月2回程度しかできなかった分析が、ほとんど毎日行えるようになりました。スピーディーに結果が得られるため、現場改善にも役立ちます」(長澤氏)
三菱マテリアル株式会社は、RPAの魅力を発信したり、社内外のワークフロー開発事例を紹介したりするRPA活用サイトも運営しています。
経済産業省が選定する「DX銘柄2022」にも選ばれた株式会社リコーは、これまで35万時間2,000プロセス以上の業務改革を行ってきました。
「かつて生産の現場は『3K(きつい、汚い、危険)』と言われましたが、今オフィスでは『3M(面倒、マンネリ、ミスができない業務)』が起きています。これらを徹底的に取り除く必要があると考えています。実際に自動化を進めるとなると、まずはRPAについて理解してもらうことが必要になります。現場だけではなく、現場の課長や部長などに理解してもらい、支持してもらうことで自動化が進みます。ご説明のため、専門知識を持ったCoE(センター・オブ・エクセレンス、組織の中で自動化の中心となるチーム)が全国行脚することもありましたね。実業務の担当者は、自動化についてたくさんのアイデアを持っています。出荷前のスキャン検査や品質保証の実験など、RPAの面白い使い方がたくさん生まれました。『自動化の主役は現場』なんだと感じています」(塩谷氏)
会場では、最後に「業務発掘ワークショップ」が実施されました。7グループに分かれ「自動化できてよかった業務」「自動化したいが、まだできていない業務」を、グループメンバーがそれぞれ付箋に記入し、大判紙に貼り付けました。なかには、紙から付箋がはみ出しそうになるくらいに、たくさんの意見が挙がったグループも。
それぞれの意見についてディスカッションをした後、グループ発表が行われました。
自動化できてよかった業務については「見積もりから在庫引きあてまでの処理を自動化できた」「業務に関する最新情報を拾って、メール配信してくれるロボットをつくった」といった声をいただきました。
反対に、複数のグループで自動化ができていない業務として挙がったのは「会議の議事録自動入力」「会議のコスト試算」「会議のスケジュール調整」など、ミーティングに関するものでした。
今回の製造ユーザー会では、製造業のユーザーの皆様からたくさんのご意見やフィードバックをいただきました。UiPathでは、製造業に特化した事例のユースケースやベストプラクティスを蓄積し、製造業のお客様の自動化によるDX支援を進めています。さらなるお客様事例は下記のページを是非御覧ください。
トピック:
製造Japan, UiPath
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