2022年7月28日
~RPAは国内企業の「自動化を実現するためのインフラ・ツールのひとつ」と位置づけられるように~
エンタープライズ自動化ソフトウェアのリーディングカンパニー、米UiPath(ユーアイパス)社の日本法人であるUiPath株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:長谷川康一、以下「UiPath社」)は、本日、株式会社アイ・ティ・アール(本社:東京都新宿区、代表取締役:三浦元裕、以下「ITR社」)がUiPath社の委託を受け制作した、RPAの活用の実態について客観的な調査・分析を行ったホワイトペーパー『RPAの国内利用動向と業務自動化の方向性』の公開をUiPath社のWEBサイトで開始しました。
コロナ禍の長期化を受けて、物理的な移動や対面の機会が減少したことにより、ペーパーレス化に代表されるデジタイゼーションが進展し、その結果として、データの加工・共有・管理といったデジタライゼーションにもより注目が集まっています。また、スマートフォンなどのモバイルデバイスやIoTの普及、紙文書のデジタル化などに伴い、日常生活やビジネスでやり取りされるデータ量が急速に増加しています。もはや企業にとって「業務の自動化」は、できればよいもの(nice to have)ではなく、なくてはならないもの(must have)となりつつあります。同時にRPAは昨今、ベンダー各社の機能強化により、そのカバー範囲を拡大しつつあります。これを受け、RPAは、「デスクトップ作業の効率化のためのツール」という枠組みを超え、「自動化を実現するためのインフラ・ツールのひとつ」と位置づけられるようになりつつあります。
このような背景のもと、ITR社はUiPath社の委託を受け、RPAの活用の実態について客観的な調査・分析を行ったホワイトペーパー『RPAの国内利用動向と業務自動化の方向性』を制作しました。国内企業のRPAの導入目的と活用のあり方や、企業活動におけるオペレーションの品質とスピードのさらなる向上を実現させるために必要な対策について詳細に解説しています。
RPAが国内で注目を集め始めたのは2016年ごろであり、その後、着実に普及が進んでいます。ITRが毎年実施している『IT投資動向調査』によれば、2019年に導入が一気に進み、図1において点線で区分した導入企業の割合は、コロナ禍においても年に3ポイント程度の勢いで増加し、2021年にはほぼ30%に達しました。
【図1 国内企業におけるRPAの導入率の推移】
RPAの導入目的として最も多く選択されたのは「全社的な業務変革の実現」であり、全体の48%と半数近くに達しました。この値は、2年前の調査時よりもさらに5ポイント上昇しており、RPAを全社変革のための道具と位置づける担当者が極めて多いことを示す結果となりました。
【図2 RPAの導入目的】
実際にRPAがどのような業務に適用されているかに着目すると、「本番の業務でRPAを活用している」とした258件に対して、RPAを利用している部門を問うたところ、「IT部門」が最も多く、唯一50%を超えました(図3)。次いで、「経理部門」「総務部門」「人事部門」といったバックオフィス系部門が30~40%台で続き、「営業部門」「コンタクトセンター/顧客サポート部門」などのフロントオフィス系部門は、それよりもさらに低い利用率でした。 また、RPAで自動化の対象としているアプリケーションを見ると、「Excel」が抜きん出て高く、「Webブラウザ」が50%台で続きました(図4)。
【図3 RPAの利用部門】
【図4 RPAの自動化対象アプリケーション】
上掲の結果を見ると、現時点では、RPAの導入済み企業でもその適用業務は依然として限定的であり、用途もデスクトップ・アプリの自動化が先行していることが見て取れます。ただし、RPAの利用目的としては「全社的な業務変革の実現」が最多であった点を踏まえれば、今後、適用業務や基幹系システムを含めた自動化対象システムが拡大することが期待されます。
導入目的では全社的な変革を重視する割合が高い傾向とは裏腹に、RPAを実務に適用する段階では現場の意見が以前よりも強く反映される傾向が見られました。RPAの適用業務を検討するアプローチでは、「全社視点から効果が高い業務」よりも「現場からの要望が強い業務」を重視する割合が高く、2年前よりも現場主導の傾向が強まりました(図5)。この背景には、現場においてRPAの活用を望む意見が強くなっているのと同時に、RPAに適した業務が、経営層や業務改革部門などから見えにくくなっている実態があると考えられます。RPAベンダーは、現場業務の実態を可視化・分析するタスクマイニング・ツールや、現場部門と全社のRPA主管部門をつなぐコミュニケーション・ツールの提供を開始しています。こうしたツールを活用しながら、RPA主管部門がいかに現場を巻き込んでいけるかが、これからのRPA活用の重要なテーマとなるでしょう。
【図5 RPA適用業務の選定アプローチ】
自動化の効果を局所的なものに終わらせることなく、全社的な変革へとつなげていくためには、自動化を行うそもそもの目的やそれによって得たい価値、自動化すべき業務の対象、評価指標などを再定義することが求められます。その方向性として目指すべきは、エンドツーエンド(すなわち、業務の始点から終点まで)を見据えた業務プロセス全体の最適化です(図6)。
【図6 現場の自動化において目指すべき方向性】
エンドツーエンドの最適化をゴールに設定する際は、RPAによって自動化される作業が、プロセス全体の品質やスピード、効率性にどのような好影響をもたらすのか、あるいはどのような顧客価値を創出するか、といった俯瞰的な視点を持つことが求められています。評価指標も、削減できた業務時間や従業員数ではなく、プロセス全体のリードタイムや顧客満足度などに切り替わることになるでしょう。
その結果として、たとえ大量・多頻度でなくとも、顧客体験に重大な影響を及ぼす作業や、組織の壁によって遅延が発生しがちな作業は、有力な自動化の対象に位置づけることが可能となります。また、従来は人手の制約によって対応できなかった作業を新たに追加することも検討できるはずです。
RPAおよびそれによって実現される自動化の価値を捉える際に、「既存作業の代替」という固定観点から脱することは、デジタル技術によって生じる変化にビジネスを対応させるうえでも不可欠な条件となります。
なお、こちらのホワイトペーパーは下記よりダウンロードいただけます。ぜひご覧ください。
→ ITR:RPAの国内利用動向と業務自動化の方向性 ~調査結果が示す大企業の現状と課題~
以上
株式会社アイ・ティ・アール(ITR)について: https://www.itr.co.jp/
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