2023年10月24日(火)、25日(水)の2日間で開催された、AI搭載のオートメーションについて発見と思索を深めるカンファレンス「UiPath FORWARD VI Japan」。24日の様子を全3回の記事でお届けしています。第2回目は、UiPath社グローバルの責任者による、「UiPath Keynote」の模様をご紹介します。
UiPath 共同最高経営責任者 Daniel Dines
まずは、UiPathの共同最高経営責任者であるDaniel Dinesが登壇。今回の来日が6回目となるDanielは「ルーマニアにあるブカレストの小さなアパートで始まった会社が、10年でこのように多くのクライアントの皆様とご一緒できるのが夢のよう」と挨拶しました。
今回のテーマ「AI at Work」に関連して「AIと自動化の結びつきは非常に強く、人間で言うと、自動化は身体、AIは頭脳の役割」と例えます。そして、ローコードではあるものの、一定のプログラミング知識を必要とする自動化ワークフローの開発・運用が、AIによって誰にでも容易になりつつあることを説明しました。また、AIにとって最も重要なことは「(生成AIを活用した機能群である)UiPath Autopilot™や文章の理解といった技術だけでなく、誰もが使えるようになること」と語りました。
ここで、AI搭載の会話型アシスタント「UiPath Assistant」について、プロダクトマーケティング部門の夏目より、デモンストレーションが行われました。
手続きが煩雑な海外出張の手配を例に、「UiPath Assistant」に、出張先で参加する自社イベントの情報を読み込ませることで、日付や場所、会社の出張ポリシーなどを理解してフライトやホテルの手配に関するコメントがもらえる流れを披露しました。他にも、該当のイベントに自分の顧客が参加するかを尋ねると、マーケティングツールから参加者の情報を取得し、顧客管理システムから詳細情報を取得できる様子や、出張後の経費精算レポートが数クリックで作成できる様子をご紹介しました。
デモを受けてDanielは「ルーチンタスクの実行において、人間は司令塔となるでしょう。AIが全てを行えるようになったとき、人間の役割は善と悪の判断だと考えます」と話しました。最後に、AIによる変革を恐れる人に対してこう述べました。「変革を恐れる人はたくさんいます。よく、変化を受け入れられない、変われない人はどうすればいいのか、と問われますが、そんなとき私は、人間は変わっていけると答えています。近世の日本は、鎖国により世界への窓を閉ざしていました。しかし、開国後の経済発展を経て、今や欧米各国と匹敵するくらい力を付けています。日本人は変わることで成功を収めてきたので、未来を見据えて勇気を持たなければなりません」
UiPath株式会社 代表取締役CEO 長谷川 康一
続いて、UiPath株式会社 代表取締役CEOの長谷川 康一が登壇。2023年に入り、多くのCEOやCIOとの対話で話題となったトピックを紹介しました。
今後、企業に入社してくるのは、3歳からiPadで遊び、デジタル教育を受け、スマートフォンを使いこなすデジタルネイティブ世代。この世代はRPAやAIを難しいとは感じず、業務の自動化は当然と受け止めるでしょう。そんな中、これまでのアナログ環境にしがみついていては、彼らから「この人たちは化石だ」と思われてしまうのでは、と警鐘を鳴らします。「彼らは、有名企業や大企業だから、という理由で自分の働く会社を選んだりはせず、自分たちの能力がより発揮できる会社を選ぶでしょう。AIを活用した自動化は経営の課題となるのです。
これまでのシステムは、効率を求めて画一化する“Efficiency”でした。今後はAIの想像性とオートメーションを相乗させて個性を出し、効果を出すための“Effectiveness”に変わっていきます」と、語りました。
次に、UiPathの「AI-Powered Automation」についてご紹介しました。これは、UiPathのオートメーションプラットフォームに、生成AIや特化型AIなど、様々なAIを搭載。目的に合ったAIを自由に選んだり、組み合わせたりするプラットフォームです。インプットでは、UiPathのロボットが様々なデータを柔軟に取り込み、AIの精度を充実させ、アウトプットでは、AIが出した結果をヒューマン・イン・ザループとして人間が判断し、実行できます。「AIインフラストラクチャ―として既に実績のあるUiPath基盤の活用、さらに『責任あるAI』の実現のための管理フレームワークUiPath AI Trust Layerの提供を予定しており、プラットフォームを拡張します」と意気込みを語りました。
UiPath Senior Director, Engineering Edward Challis
続いて登場したのはSenior DirectorのEdward Challis。エンジニアの視点から現在の取り組みについて説明しました。冒頭では「今、AIや自動化は転換期にあります。『2023年は変革の年だった』と5年後、10年後に語る日が来る予感がしています」と挨拶。AIの価値については「生産性の向上」「製品・モデルの強化」「生成AIを活用した自動化」の3つの要素があると説明しました。
生成AIと特化型AIの能力については、生成AIが自動的にデータを探索することにより、業務を効率化させる例を紹介しました。「例えば旅行代理店には膨大な量の予約や問い合わせのメールが届きますが、 UiPath Communications Mining と生成AIを活用することで、届いたメールの内容を振り分け、お客様の要望や課題をまとめることができます」と説明。課題の分析や可視性に留まらず、データに基づきお客様のニーズに沿った自動化プログラムを構築できると話しました。
また、今年度UiPathがエベレストグループ社の「Intelligent Document Processing (IDP) Products PEAK Matrix Ⓡ Assessment 2023」でリーダー及びスター・パフォーマーとして認定されたことを紹介。「我々はAIプラットフォームに対して継続的な投資を続け、高い評価を受けています。これは、プラットフォームの幅と深みを象徴する受賞だと考えています」と語りました。
UiPath SVP Test Suite Gerd Weishaar
最後に、UiPath SVP Test SuiteのGerd Weishaarが登壇し、ソフトウェアテストについて説明しました。AIの可能性について「作業効率の向上に留まらず、ソフトウェアテストそのものを変える」と予想。大手企業のアナリストたちも、AIによってプロセスが改善されると分析していると説明しました。
次に、ソフトウェアテストにおける進化の過程を3段階に分けて説明しました。まずは「Assisted AI」と呼ばれ、人間のテスター操作をAIがサポートするフェーズ。これは、先日発表されたばかりです。次のステップは「プロアクティブなコラボレーター」。これは現在開発中で、AIが行った処理に対し、判断のつかなかったものだけを抽出し、人の手で処理をするフェーズです。そして最終的には、AIが自らテストを行い、人間はそれをサポ―トするだけの自律型のガイドへ発展すると予想しました。
ここで、Test Suiteを使い、AIでテストケースを自動的に生成する工程を紹介。AIがソフトウェアテストにどのような影響を及ぼそうとしているかを、来場者の皆様にご体感いただきました。最後に、フォレスターのアナリストであるドュエゴ・ドュエリチエ氏の言葉を紹介。「AIはテスターの仕事を奪うのではない、テスターがAIを使う時代が来ている」と締めくくりました。
第3部の記事では、UiPath製品をご活用いただいている企業の皆様による「AI at Workパネルディスカッション」をお届けします。
→ 「UiPath FORWARD VI Japan」第3部 レポート:AI×オートメーションで、人々の働き方はどう変わるのか?
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イベントJapan, UiPath
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