UiPathのグローバルビジョン、ビジネス及び製品戦略などをご紹介するパートナー年次カンファレンス「UiPath Partner Forward 2023 Japan」が、大手町三井ホールにて、2023年4月11日(火)に開催されました。
5回目の開催となる今回は、社会的にはマスク着用の有無が個人の判断に委ねられたり、音楽ライブなどで声援が可能になったり、リアル開催イベントでの関係性構築の重要性が注目されるなか、大勢のパートナー様にご参集いただきました。
第1部のオープンニングセッションでは、UiPathビジネスへの取り組みとそのナレッジを、5社のパートナーから共有されました。
最初の発表は、SB C&S株式会社の齊藤主典氏。SB C&Sは「Value Addedなディストリビューター」として、グローバルレベルの技術力をいかし、お客様ごとにもっとも適したツールを販売パートナーと連携して選択、提案されています。こういった取り組みが顧客の継続した売上の向上や既存ユーザー様の継続利用につながりました。
2番目は、株式会社電通国際情報サービス(以下、ISID)の松田延氏です。ISIDは、激しく変化するビジネス環境の中で、生産性の向上を実現するためには全員参加型のデジタル改革が必要不可欠であると考え、「DX人材育成スタートアッププログラム」を開始。RPAを個人の生産性向上に加えて、企業全体の生産性向上につなげられるような人材の育成に取り組んでいます。
続いて登壇したのは、E2EテストとUiPath Test Suiteとの親和性の高さを語る富士ソフト株式会社の塩見潤氏。自社プラットフォームのCI/CDパイプラインにE2Eテストを統合した事例を含め、現在取り組んでいる5つの事例を発表しました。
MRIバリューコンサルティング・アンド・ソリューションズ株式会社の内田琢也氏は、「現時点で、個別最適で多くの結果が出ている。今後は全体最適という視点でもっと成果が出る」と現場で得られたお客様の感触やUiPathのプロダクトの可能性について語りました。
最後の登壇者は伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の玉井公人氏。「業務効率化の“壁”を突破する。帳票DXとデータファースト戦略」と題して、3年前から取り組んでいる自社のダークデータの可視化による価値創造へのチャレンジに関して発表しました。
続いては、UiPath Japan MVP 5名をお迎えして「ユーザーと共に創ろう オートメーションの集合知」と題した座談会。ナレッジシェアについて語り合いました。
日本で唯一のグローバルMVPである、株式会社オプテージの末武陽一氏は「ITは進歩が早い。自社でナレッジを囲い込んでいては追いつけない時代にあるからこそ、シェアをすることは非常に重要です。だから私も積極的にフォーラムでの回答活動を行っています」。
TIS株式会社の矢倉峻氏は「ナレッジを保有することがコモディティ化して価値がなくなりつつある今、逆にナレッジを積極的にユーザーと共有し、コミュニティへの参加で個人も会社のプレゼンスを上げることで価値を向上することが重要」といいます。
またパートナーライトニングトークにも登壇された富士ソフト株式会社の塩見氏は「せっかく学んだナレッジを、自分だけや狭い範囲でしか活用しないのは、とてももったいない。シェアしたナレッジが多くの人の役に立っているのを見ると、ナレッジが日の目を見たという感じで嬉しい」とシェアを積極的に推進しました。
「情報は発信すると、さらに大きな“集合知”となって戻ってくる時代」と発言したのは、コベルコシステム株式会社の眞鍋忠喜氏。「もし発信した情報に誤りがあったとしても、その指摘や修正のプロセスを含めると、ますます多くの情報が集まって、自分にもお客様にもコミュニティ全体にも良い影響を及ぼします」。
そして眞鍋氏の「発信すると増える」に同意見という株式会社クレスコの吉田将明氏は「UiPathのプロダクトは、機能もどんどん増えますし進化が速いです。1社だけで何もかもすべてやろうとしても到底できません。今こそ、まさに集合知が求められています」と話しました。
MVP座談会は、「活動の効果や影響」、「これからのオートメーション」「ナレッジシェアによる自身と周りの変化」など、ここではご紹介しきれないほど多くの有益な意見が飛び出しました。
第2部は、代表取締役CEO長谷川の挨拶からスタート。「パートナー様と築いてきたこの6年間。振り返ると、お客様の数は10,800社、年間計上利益は12億ドルと昨年比30%の成長を遂げることができました。
あらためて目指すのは、全社的な自動化です。お客様の課題を発見して、お客様のご覧になっている景色を変えるような斬新な自動化による価値提供を実現していきます」と想いを語り、「日本を元気に!」という言葉で締めくくりました。
「企業スローガンを“すべての人にロボットを”から“人間の新しい可能性を、働き方を加速させるため、あらゆるナレッジワークの自動化を実現する”に変更しました」と紹介した、UiPath でありアジア太平洋日本地域パートナー担当バイス・プレジデントのMarcus Lowは、グローバルパートナー戦略について語りました。
「UiPathのオートメーションプラットフォームには“発見”“自動化”“運用”の3つの重要な構成要素があり、製品を売るだけでなく3つの要素で支援することで付加価値を生み出すことができます」といい、3つの具体的な海外の成功事例を紹介しました。
そしてお客様のトップパートナーになるための成功のポイントを3つ挙げました。1つめはエンドツーエンドで自動化を活用できるビジネスを採用すること。2つめは、どんな案件でもオートメーションの技術と結び付け、カスタマーサクセスの推進を計画的に実行する。3つめは、自社のプラットフォームがある場合は、サービスにオートメーションを組み込むことです。「これら3つができればトップパートナーになれます。ぜひチャレンジしてみてください」と話しました。
執行役員 最高パートナー責任者の渡部洋史は、日本国内におけるパートナービジネス戦略について話しました。まず「約8割の案件がパートナー様の商流であり、ビジネスは拡大基調にあります。これは、まだまだお客様の自動化によるニーズが高いということの現れと捉えています」と渡部。
さらにオートメーションを取り巻く環境についても「2025年までRPA市場は引き続き大きな成長が見込める一方、関連するOCR・PM市場、AI市場、API市場も大きな成長が見込まれている」と解説。「パートナー様との協業スタイルの変革によって、まだまだビジネスの拡がりがある」と期待を語りました。
そしてパートナー様との協業方針として「①“RPA単体”から“Business Automation Platform” アプローチへ」「②パートナー様のサービスとの連携によるソリューション提供」「③ディストリビューションモデルの更なる強化」「④パートナープログラムの進化」を発表し、「2024年も、パートナー様との協業に加えて、共創により“日本のお客様を元気にする”を目指します」と宣言しました。
パートナー事例として最初に語ってくださったのは、株式会社クレスコの執行役員ビジネスイネーブルメントサービス本部長である髙津聡氏です。クレスコはRPA推進事務局支援・市民開発者育成支援を得意とし、数多くのお客様のRPA活用推進を支援されています。 髙津氏は「RPA活用が進むにつれ、局所最適から全体最適を目指し、ビジネスプロセス全体の自動化を志向する企業が増えてきます。また同様に、RPA活用が進むと市民開発のニーズが拡がっていくというトレンドもあります。この2つがRPA活用を加速させる大きなカギになります」と話します。 そして、UiPath Business Automation Platformの活用事例として、2020年から取り組み「ビジネスプロセス全体の自動化」を推進できる土壌づくりに成功した支援事例を紹介。ユーザー企業および市民開発者の方々がUiPath Business Automation Platformを使いこなせるように推進と教育を提供してリードしていくことが今後のカギになると語りました。
続いての事例は「自社のデジタル利用徹底と技術戦略“DX + AIS-CRM + SD+(5)G”で、自社とお客様の競争力向上に貢献し、ビジネス拡大を目指す」という2024年のビジョンを掲げている富士ソフト株式会社。登壇者は、執行役員 エリア事業本部長の南川勝氏です。
富士ソフトでは、UiPath Test Suiteを活用した3つの取り組みを実施されました。1つめは「テストの作業効率と品質の向上。自動化したシステム資産を活用し運用保守も効率化する、テスト業務の改善」。2つめは「CI/CDパイプラインによるSIプロセスの向上」。そして3つめが「自社とお客様の競争力を強化しビジネスを拡大する高付加価値業務へのシフト」です。
「2022年は、UiPath Test Suiteをお客様の成果につなげるために、まずはトライアルとして社内で実施しました。2023年には社内標準化に取り組み、そして2024年にはお客様にその成果を展開し、新たなビジネスへと拡大させていきたい」と南川氏。「お客様のデジタル化を牽引し、競争力向上に貢献していきます」と結びました。
ゲスト講演は、アイティメディアの媒体であるキーマンズネット編集部の編集記者、溝田萌里氏です。キーマンズネットは情報システム部門のための会員制メディアで、会員は約40万人。製品導入ガイドや事例紹介、読者調査記事などのコンテンツが中心です。
キーマンズネット調べによるとRPAの導入状況について興味深い結果がでました。「多くの方が“ほとんどの企業でRPAは導入済み”と感じていると思いますが、導入済みは約40%。未導入の60%のうち36%が“興味がある”もしくは“検討中”という答えになりました」と溝田氏。
さらに「導入が進まないのは、RPAロボットの開発スキルをもつ人材がいない、業務の棚卸しなど事前準備が面倒という理由が大きいとわかりました。さらに導入済み企業でも“拡大・定着を支援する施策も特にない”という回答が34.5%でもっとも多く、サポートを必要としている企業が多い」と説明。
多くの企業が「パートナーに対して技術力だけでなく、ユーザーに伴走しながら明確なゴール設定やその計画策定、業務プロセスへのアドバイス、人材教育といったさまざまな観点の企画力やアイデアを具現する能力を求めている」とまとめました。
カンファレンスの最後には「UiPath Partner Awards 2022」表彰式を実施。この賞は、この1年間、日本においてオートメーションビジネスの拡大を推進し、UiPath製品やソリューションの国内展開に大きく寄与・貢献した企業に贈られます。5回目となる今回は計8部門、8社のパートナーを表彰しました。素晴らしいパートナーの皆様と、「日本を元気にする!」を合い言葉に、新たな自動化の価値提供に努めてまいります。
Japan, UiPath
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