2024年4月17日(水)、UiPathパートナーの年次カンファレンス「UiPath Partner Forward 2024 Japan」が開催されました。このカンファレンスでは毎年、UiPathのグローバルパートナー戦略や製品戦略のご紹介のみならず、パートナーの皆様同士のナレッジ共有・情報交換の機会として約200名のパートナー様にご参加いただきました。
第1部 パートナーナレッジシェアリング
第1部のオープンニングセッションでは、5社のパートナー様からUiPathビジネスにかかわる取り組みや、オートメーションのナレッジについて共有されました。
最初に登壇したのは、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の福永裕司氏です。伊藤忠テクノソリューションズはUiPathの日本法人設立当時から、国内第1号代理店として、UiPath のオートメーションを活用したサービスの提供を開始しています。そんな同社は、UiPath Document Understandingを活用し、見積書や請求書をシステムへ自動入力する社内事例を紹介。これらの業務にかかる年間時間を、約1万2000時間以上削減しました。
続いて、株式会社OLDEの加藤秀和氏は「不動産仲介業務でのDocument Understanding活用の可能性」について発表しました。OLDEは賃貸業者、ホテル、保険代理店など多岐にわたる業界のソリューションを提案しています。不動産仲介業の現状のシステムに課題を感じたOLDEは、現在、ML(機械学習)モデルやAIを使って、不動産仲介業務を自動化するシステム開発を進めています。
3番目はTIS株式会社の伊藤浩氏です。オートメーションが市場へ浸透していく中、TISはお客様のオートメーションに対する要望や期待内容の変化に対応するために、2023年からカスタマーサクセスチームを立ち上げました。さらに、TISは2024年に「オートメーションプラットフォーム活用支援メニュー」を発表。従来RPAとAIを含む先進テクノロジーを組み合わせ、さらなる業務効率化を目指しています。
4番目に登壇したのは日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、IBM)の田端真由美氏。「地域におけるデジタル人材育成の取組」について紹介しました。IBMは、地方にデジタル人材が不足していることや、東京から地方にIT人材を派遣しても、その後の運用が困ることなどに課題感を抱いていました。そういった背景もあり、北は北海道、南は沖縄まで、全国7か所にある「IBM地域DXセンター」を中心として地域DX人材の育成に取り組んでいます。その一環としてUiPathの教育プログラム(IBM地域UiPath人財育成プログラム)を運営しています。
最後は、Peaceful Morning株式会社 代表取締役の田中雄太氏からのナレッジ共有です。Peaceful MorningはRPAに関するメディアの運営、工数を可視化できるSaaS、RPAのプロが開発をサポートする「Robo Runner」など、ミッションである「我慢しないで働ける社会」の実現に向け、さまざまなサービスを提供。RPAの市民開発が成功するためには、教育システムの確立と、充実したサポート体制が必要であるという考えのもと、RPA導入を目指す企業の課題を解決しています。Robo Runnerでは、RPAスキルを持つ1,000名のフリーランス副業者が、成果報酬型でオンラインMTGや問い合わせ(チャットサポート)対応を行っており、チャットサポート対応実績は2024年度3月時点で3,000件を超えております。
続く、ディストリビューションパートナーセッションでは、SB C&S株式会社の鈴木陽介氏から「SB C&Sからパートナー様へのご支援」について発表されました。
「RPAの市場は年々上昇を続けています。2022年は約409億円規模となりました。2024年には500億円を超え、2025年には600億円に到達すると予測されています。一方で、新規ユーザーの獲得数は鈍化し、既存のユーザーの利用が拡大している傾向があります」
今後、お客様へのさらなる支援に貢献をすべく、SB C&Sは「全体支援」と「個別支援」の二つの柱で、パートナー様を支えていきます。具体的には、ウェビナーを中心とした情報発信の強化と、パートナー様それぞれのマーケティング支援や案件支援、製品勉強会などです。
「パートナー様に新たな『武器』を持っていただけるよう、しっかり支援します。『どういったお客様にアプローチをかけるのか』というような提案までさせていただきたいと思っています」
第1部の最後を締め括ったのはUiPathの倉永康博です。UiPathでは、テクニカルパートナーイネーブルメント施策として、さまざまな形の教育プログラムを提供しています。
「新たな試みとして、UiPath Document Understandingの導入・実践ノウハウに特化した『集中研修』を実施しました。UiPathのプロ講師による講義・ハンズオン研修を5時間×3日間という形で行い、85%の方に『業務に活かせる』とご回答いただいています」
今後はUiPathのテスト自動化ソリューション「Test Suite」や、SAP製品のオートメーションを行う「SAP Automation」などの研修を実施し、お客様への更なるご提案やオートメーションの価値を共にご提供できるパートナー様の支援に努めます。
第2部 UiPath Partner Forward 2024 Japan
第2部からは、UiPath Partner Forward 2024 Japanの幕開けです。会場が盛り上がりを見せる中、UiPathカントリーマネージャーの南哲夫が登壇し、開会の挨拶をしました。
「過去、日本にUiPathが立ち上がったとき、RPAという言葉が脚光を浴びていました。ところが、2024年現在はAIの登場により、RPAとAIがどこか分離して考えられているように感じます。2024年は、ビジネスにおいて『AIの実行』がますます進む年となるでしょう。私たちは、AIを最大に使いこなす自動化のプラットフォーム『AI-Powered Automation』で、新たな価値創出を目指していきたいと思っています」
今後は「①お客様に合わせたテーラーメイドのオートメーション」「②パートナー様の知見を生かした協業の加速と、 エンド・ツー・エンドですべてのビジネスを自動化していくこと」が鍵となると、伝えました。最後に「AI-Powered Automationでパートナーの皆様とご一緒に日本を元気にしていきましょう」と締めくくりました。
続いて、グローバルパートナー戦略について、UiPathのグローバルパートナー&エコシステムのシニアバイス・プレジデント ブロンウィン・ ヘイスティングから紹介しました。
「私が日々やり取りをする83%のお客様が『AIが自分たちの事業戦略に組み込まれている』と話しています。そして、その割合は日を追うごとに増えているように感じています。一方で『どのようなユースケースがあるかわからない』という声も、未だに耳にします」
今後は、UiPath、パートナー様ともに、「SCALE(スケール)」していくことが重要だと言います。
①Simplified:プロセスをシンプル化し、効率的かつ効果的にお客様にサービス提供する
②Customers and partners:お客様とパートナー様全員が、ニーズに即した体験と成果を上げられるよう全集中する
③Automation:オートメーションの力でお客様とパートナー様が思い描く成功に向けて、ビジネスを加速させる
④Leadership:ともにオートメーション市場を牽引し、さらに前進する
⑤Execution:真の顧客ニーズに沿った価値提案を、パートナー様の強みを活かし、ともに実行する
現在、全世界におけるUiPathのビジネスの70%が、構想や実装など、何らかの形でパートナー様が関与しています。UiPathでは、これを95%まで引き上げることを目標としています。
「日本は平均値より高く、80%を維持しています。このことに感謝するとともに、今後も一緒にさまざまイノベーションを実現していくことができれば、うれしく思います」
UiPathパートナー営業本部 第一営業部 部長の藤原英修からは「UiPathパートナービジネス戦略」を解説しました。
「UiPathでは、AIを使ったビジネスの拡張、パートナー協業の加速、パートナービジネスの進化を目指して、さまざまな施策を実行してきました。今後はRPA単体を売る会社から、ビジネス全体のオートメーションプラットフォームの訴求を推進する会社に変化していきます」」
ユースケースとして、オーストラリアの大手化学系製造業のOrica Limitedの事例が紹介されました。同社はSAPのアップグレードの際に行うテスト作業を自動化し、その結果、検証にかかる時間を77%短縮しました。この結果を踏まえて行ったファイナンス業務の効率化では手作業を98%削減しました。そのほかにも、日本大手精密機器メーカーが、AIを活用した自動化により請求書処理件数を90%削減した事例を紹介しました。
UiPathは、パートナー様とともにAIとオートメーションビジネスを次のステージへ進化させます。
パートナー事例講演では、今回、2社に発表いただきました。最初に登壇したのは株式会社クレスコ 執行役員 デジタルモダナイゼーション本部長 兼 営業統括部管掌の髙津聡氏です。髙津氏は経費精算業務のプロセス改善を行った事例について発表しました。
「フェーズに分けてUiPath Process Mining、Communications Mining、Document Understandingを活用して経費精算業務のプロセス改善を行いました。まず、Process Miningを活用して、現在の課題の深掘りをしました。そして、その傾向分析をCommunications Miningで実施し、必要な処理をDocument Understandingで実行できるようにしたんです。Process MiningやCommunications Miningを併用すれば、自動化・効率化だけでなく、業務課題の発掘および改善が可能になります」
株式会社電通総研 コミュニケーションIT事業部 CIT営業第1ユニット CIT事業企画部 部長の松田延氏は「電通総研が取り組むAI x Automation」をテーマに発表。事例として、製造業で使用されている製品ラベルのチェックを自動化した事例を紹介しました。
「当然のことながら、製品ラベルは正しく記載することが求められます。従来は、英語であったり、アラビア語であったりするラベルを『仕様書に基づいて正しく書かれているか』『抜け漏れがないか』など、人の目で目視していました。こういった一連の作業を、自動化によってより正確に、早く確認できるようにしました」
これまで、文章・音声・画像などのデータを扱う業務は、データの性質上、自動化が困難とされてきました。しかし、近年はAIを活用することで、オートメーションが可能となりました。AIとオートメーションの力を掛け合わせれば、日本のビジネスはますます加速することになるでしょう。
カンファレンスの最後には「UiPath Partner Awards 2023」表彰式が執り行われました。
この賞は、2023年、日本においてオートメーションビジネスの拡大や、働き方改革を推進し、UiPath製品やソリューションの国内展開に大きく寄与・貢献した企業に贈られます。6回目となる今回は計8部門、8社のパートナー様を表彰しました。
さらなるオートメーションプラットフォームの促進を目指して、今後もUiPathと一緒に歩んでいきましょう。パートナーの皆様、引き続きよろしくお願いいたします。
Japan, UiPath
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