働き方改革やデジタルトランスフォーメーションの一手として注目を集めるRPAですが、簡潔なタスクの自動化から、複数のタスクが複雑に組み合わさる業務全体の自動化へと、そのトレンドはシフトしてきています。
2019年10月30日(水)、ザ・プリンス パークタワー東京にて、RPA業界最大級のイベントである「UiPath Forward III Japan」が開催され、2,200名以上の方々に参加いただき、複雑で多様な業務の自動化を実現するUiPathの新しいRPAプラットフォームについてご説明しました。ここからは、当日の基調講演の様子をご紹介します。
冒頭の基調講演には、日本で初めてRPAによるロボットを作成した国会議員としても知られる、自民党衆議院議員の石原伸晃氏にご登壇いただきました。
2016年の未来投資会議で、情報化社会に続く新しい社会としての「Society5.0」を目指すと発表した石原氏。これはドイツが主導する「インダストリー4.0」の先にあるものとして世界からも注目を集め、多くの人から賛同と応援を得ている指針です。この実現に必要なのは、改革だといいます。
「現代は仮想空間と現実が高度に融合されたシステムで、さまざまな課題を解決することができる時代です。実行力のあるテクノロジーを利用すれば、日本がこれまで培ってきた情報資産や人財を活用する仕組みを作ることができるでしょう。UiPathのオフィスでRPAを使った経理処理を体験した時に感じたのは、その敷居の低さです。ITの知識がない人でも利用でき、個人が現場で抱えている課題を簡単に解決できるテクノロジーだと感じました。」
そして、RPAの持つ可能性について石原氏はこのように語りました。
「平成初期までは、若手社員が事務処理をすることは当たり前でしたが、人財が限られている現代においては、経験や年齢に関係なく、人間はもっと付加価値の高い仕事をするべきです。RPAによる自動化で事務処理から解放された時間を高付加価値の仕事に使い、日本の生産性を上げることが求められています。RPAロボットを有能なアシスタントとして従業員一人一人に付け、煩雑な業務から解放する。この『ロボットフォーエブリワン』のコンセプトを社会国家レベルで実現するべきだと思います。これからも日本が元気になるような取り組みに、官民の垣根を越えて取り組んでいきたいと思います。」
続いて、午後の基調講演ではUiPath 株式会社代表取締役社長 CEOの長谷川、米国UiPath 社 共同創立者兼CEOのダニエル・ディネス、そして米国UiPath社最高製品責任者のパラム・カロンが登壇。これまでのUiPathの歩みや今後の方針、そしてこの日に発表されたUiPath最新版の特長について紹介しました。
まず初めに登壇したのは長谷川。これまでの歩みを振り返り、現在の戦略について説明しました。「2018年1月に行われた1回目のForward Japanから、今回で3回目の開催となりました。当時と比べてお客様の数は1,300社に増え、社員数は340人にまで成長しました。私たちのグローバルビジョンは、 日本から発信した ロボットフォーエブリワン 1人1人がロボットを です。
日本でRPAに対する期待は非常に高いのですが、「RPAは決して魔法の杖ではない」と長谷川は続けます。「安易に導入するだけでは成果は出ません。業務見直しから始まり保守までをふまえた導入のジャーニーを、AI技術も活用して 進めていけば必ず成果は上がります。」
テクノロジーが進化したとしても、それだけで人間の仕事が楽になるわけではありません。真の意味で働き方を改革するには、自動化のプラットフォームを作り、仕事の在り方を根本的にRebootしていくことが必要です。そのために今回UiPathが発表したのが、自動化業務の検討から実行後の効果測定までを一気通貫で行える「エンドツーエンドの自動化ソリューション」です。
長谷川はUiPathの戦略をこのようにまとめました。「私たちが目指すのは、様々なシステムのラストワンマイルを集めて全て自動化する、『ラストワンマイルズのアプリケーション』。UiPathの使い方を知っていれば UiPathがアプリケーションとつながって自動化を実現します。」
続いて登壇した米国UiPath社CEOのダニエルは、自動化と働き方が生産性にもたらす影響について語りました。1970~80年代の日本は、自動化と共に効率的な働き方を取り入れたことで経済的に成長、世界トップの生産性を誇っていました。しかし過去30年で日本の生産性は世界20位にまで下落。ダニエルはこれに警鐘をならし、働き方改革が早急に解決すべき課題であると強調します。
「現代の働き方改革でも自動化は重視されており、RPAやAIなどの最新テクノロジーを基盤にした業務の自動化のトレンドは『ハイパーオートメーション』と呼ばれています。これが実現すれば、我々は近い将来、PCのキーボードに縛られる事なく、ロボットを使ってシステムにアクセスするようになるでしょう。人々はより自由で生産性の高い働き方ができるようになります」とダニエルは予測します。
「RPAは新しいトレンドです。3年前の日本はRPAの黎明期でしたが、日本の真摯な企業のお客様が難易度の高い要望を達成し、多くの業務の省力化にも成功し世界をリードしました。しかし、世界はテクノロジーを使った働き方改革に対してもっと貪欲になっています。日本企業も、欧米と同じくらいの積極性を見せないとこれからの競争に負けてしまうでしょう。世界は変革の時代を迎えています。小さく産んで、素早く自動化をスケールしていくことが、これからのデジタル社会を生き残るには不可欠なのです。」
続いて、最高製品責任者のパラムが、ハイパーオートメーションを可能にするUiPath最新版のプラットフォームについて説明しました。
「UiPathは常にユーザーの意見を重視しています。製品開発のための重要なフィードバックを与え続けてくださっている日本のお客様に感謝します。これまでのロボット構築のコア機能を強化しつつ、自動化をより簡単に行いたい、もっと複雑な業務を自動化したい、プロセスを客観的に分析したい、現場の担当者がより作りやすくしたい、ロボットの仕事の成果に焦点を当て測定したい、といったユーザーからの要望を全て反映したのが、これからご紹介するUiPathの最新版のプラットフォームです」
最新版におけるもっとも画期的な点は、エンドツーエンドの自動化ソリューション。これによって、単一のプラットフォーム上で、自動化プログラムをかつてないスピードでスケールアップすることが可能となります。
最新版のUiPath RPAプラットフォームの製品ファミリー
従来の「開発」「管理」「実行」のコア機能は、より多くのユーザーが、より多様なシーンで容易に活用できるように強化されました。例えば「開発」では、業務部門に所属するユーザーのために『StudioX』の提供を開始。プログラミングの経験がない人も簡単に開発できます。さらにUiPathと連携するAIの機能も強化し、より複雑なワークフローの設定が可能になりました。「管理」ではクラウドのアプリケーションサービスを展開することで、容易な構築を実現しています。
さらに、最新版には「計画」「協働」「測定」の3つのスコープが追加されました。「計画」では、ロボットの開発や実行にむけて、業務手順を自動で文書化する機能や、自動化可能な業務を可視化する機能ができました。「協働」では、情報追加や承認依頼など、人への操作依頼をワークフローに組み込むことや、チャットボットで自然言語を使ったデータの入出力が可能になり、業務レベルでのワークフローでの自動化を実現。最後に「測定」では、ビジネスの成果を統合分析できる分析ダッシュボードが登場しました。
「計画」と「測定」が加わったことで、これまではユーザーが独自に個別に行っていた、RPA導入の計画から導入後の効果測定までをひとつのプラットフォーム上で行うことができるようになり、シームレスな自動化の実現、効果の最大化を行うことができるようになったのです。
自動化のライフサイクルをすべて1つにした次世代のUiPath RPAプラットフォームに関しては、UiPath Enterprise RPA プラットフォームをぜひご参照ください。
最後に長谷川・ダニエル・パラムは3人で登壇し、セッションを締めくくりました。
「UiPathの最大の強みは、日本を元気にしたいという高い志を持ったお客様と一緒に製品を作っていける点です。お客様のデジタルジャーニーに寄り添える会社になりたいという思いで続けてきた日本のお客様との対話が、今回発表した最新版のリリースにもつながりました。これからもグローバル一丸となって、日本の市場を最優先に製品の開発を進め、世界中の人々にRPAを使っていただくことで自動化の推進、真の働き方改革の実現に貢献していきたいと思います。」
UiPathは、2019年第4四半期のロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)に関する「The Forrester Wave™」レポートにおいてリーダーとして評価されました。レポートは下記からご覧ください。
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Topics:
イベントJapan, UiPath
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