グローバル化がますます加速する現代社会において、日本企業がリーダーシップを発揮するためには、デジタルトランスフォーメーションの力が必要だと言われています。そんな中、ERPをはじめとするビジネスソリューションを提供するSAPのユーザーグループであるジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)が「JSUG Conference 2019」を2019年12月6日に開催。デジタルトランスフォーメーションへの取り組みやノウハウを共有するサポーターセッションにUiPathも参加し、SAP S/4HANAの導入プロジェクトにおけるUiPathソリューションの紹介と、実際にUiPathを使ってS/4 HANAへの移行プロジェクトを推進中の参天製薬様の事例をご紹介しました。
セッションの冒頭にはUiPath代表取締役CEOの長谷川が登壇し、UiPathのグローバルビジョンである「ロボット・フォー・エブリーパーソン―1人1人がロボットの使い手に―」の実現について述べました。UiPathでは、日本市場に特有な複雑・少量・多様な業務を自動化する“日本のRPA”を世界標準にすることを目指し、RPA×AI を中心とした「人に寄り添うテクノロジー」の提供に取り組んでいます。この方針の軸となっているのは、ガートナー社が提唱する2020年戦略的テクノロジー・トレンドの一つである「ハイパーオートメーション」の概念で、UiPathの製品によって現場のあらゆるタスクの自動化に関する手順をサポートし、自動化の裾野の拡大を目指しています。
長谷川は、このハイパーオートメーションをさらに推し進めるため、UiPathがSAPユーザー向けのS/4HANA導入・移行プロジェクトに特化した「SAP事業推進グループ」を創設したこと、SAPユーザー向けに実施している3つの支援についてもご紹介しました。
UiPathでは日本で長年にわたりSAP ERP導入や保守を支援してきたSAP技術者を中心に、日本のSAPユーザーに寄り添った開発を実施。会計系(FI・CO)コンポーネント、ロジ系(SD/MM/PP)コンポーネントをはじめ、ユーザーやパスワード管理に関する部品、BAPI登録支援ツール、GUI登録支援ツールなど100を超える共通部品を用意し、無償提供を行っています。
紙資料のOCR による読み込み&デジタル化をはじめ、Chatbotを活用したパスワードのリセット、レガシーシステムのインターフェースの自動読み込み、CRMシステムや人事管理システムなど汎用アプリケーションとのマスタデータ同期などをUiPathの自動化技術が強力にサポートし、S/4HANA導入による業務生産性向上を最大化します。S/4HANAを取り巻く周辺環境の作業を一気通貫で自動化することで、安定稼働、業務生産性の向上、現場作業の自動化・合理化が可能になります。
今、SAP技術者の不足は2025年の崖の克服のためには深刻な課題です。UiPathを活用できる技術者、エンドユーザーを育て、S/4HANAの開発・移行だけではなく、本稼動・運用フェーズにおいても社内人財の最大活用と向上稼動を実現します。S/4HANAで育てたUiPathの社内人財によって、今後の社内外の環境変化やテクノロジーの進化によって必要となってくる社内の他の戦略システムとの連携、機能強化も、UiPathを使って実現できます。
UiPathを活用し、UiPathのロボットでS/4 HANAの自動化を実現することで、SAP技術者の不足を解決できるだけでなく、広く社内の自動化を推進することにも活用できる人財を育て現場で活用することができます。更に、UiPathで社員全員がロボットの“使い手”になることで、SAPを基軸とした新しいデジタル世界の圧倒的実現を可能にします。今、2万人以上いると言われるUiPath技術者をまず、活用することもできます。
こうした取り組みの効果もあり、組立製造、消費材、食品等の幅広い業界の企業において、UiPathのソリューション活用による効率的なS/4HANA導入・本稼働の事例が生まれつつあります。セッションの後半では参天製薬株式会社 情報システム本部 グローバルエンタープライズ&ヘルスケアグループ マネージャー 堤氏にご登壇いただき、社内での取り組みについて語っていただきました。
バラバラなプロセスとシステムをグローバルに統一を図る参天製薬
「私たち参天製薬は眼科に特化した製薬メーカーであり、2020年までに実現すべき経営ビジョンとして『世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー』を掲げています。日本を中心に、2019年には約60を超える国・地域で製品販売を行い、海外売上比率はすでに30%を超えています。」と堤氏。しかし、急速なグローバル展開により課題が浮き彫りになりました。それは、地域固有・未統合のプロセス、複数の不整合なマスタデータ、そして手作業のため鮮度の低い情報などが原因で“経営情報が見えないこと”だといいます。
「もともと国内システムは、約20年前に導入されたSAP ERP R/3で運用しています。『パッケージに合わせる』のではなく『自社プロセスに合うように変更する』方針で開発を行ったため、4500本ものアドオンが設けられることになり、システムは肥大化。統制困難な状況になっていました。加えて、各国のERPは欧米、中国、アジア、韓国をはじめ、エリアごとにバラバラの状態です。」
こうした課題を解決するには、従来の延長線上の改善ではなく、新たに『経営インフラ』を構築する必要があると堤氏は続けます。
「グローバルのシステム統合を決定し『すべての国が同じプロセスで、同じテクノロジーを使用する“One ERP”』として、地域固有・未統合なプロセスとシステムをグローバルに統合・標準化することを目指しています。」
続いて、RPA導入プロジェクトの経緯についてご説明いただきました。
「当社では2017年から調査を開始、2018年夏にはツールの評価・選定を行い、UiPathの採用を決定しました。グローバルでの評価が高いこと、日本市場への積極投資を行っていること、洗練されたUI・機能であること、技術情報が入手しやすいことが選定の決め手です。
2018年12月から2019年3月にかけて環境構築、ガイドライン策定をはじめ、海外に先駆けて国内でのパイロット展開をスタートさせました。さらに、RPAというと“ロボットが歩いてやってくる”といったイメージを持つ社員も少なからずいるため、ニュースレターやポータルサイトで情報発信も丁寧に行いました。」
さらに同社では、ERPシステム統合と同時に現場の業務生産性向上にも取り組まれています。ERP刷新時のBPR実施をはじめ、AI やRPAなどデジタル技術の活用も積極的に検討。さらに現場でもプロセスの棚卸、外部に委託するのか残すのかといった業務の見直しや、組織と人の役割整理・重複排除などもUiPathと議論を重ねています。
「2019年4月の国内本格展開以降は、社内で開発・運用できるサポート体制を整えています。2019年12月の時点で16のワークフローを開発、2,000時間相当の工数削減が確定している状況です。
RPAによる自動化は数年前まで“新規テクノロジー”の位置付けでしたが、現在はRPAは業務の“インフラ”として不可欠な存在になりつつあります。また野良ロボットが生まれないようにしっかり管理できるという点もUiPathの強みだと感じています。」
堤氏は最後に今後の展望について語ってくださいました。
「今後は、3つの取り組みを予定しています。1つ目は、ERPグローバルテンプレートの開発。グローバルテンプレートを分析してどこにRPAを載せるのかを検討し、SAP処理とその前後プロセスを含んだ自動化を行います。2つ目は、グローバルテンプレート以外に、地域ごとに異なる業務プロセスに合わせたRPAの開発・リリース。現在は日本国内のシステムがもっとも複雑なため、海外で使えると確認したものを日本に逆輸入して使うプロセスを採用していますが、日本独自のプログラムの組み込みも視野に入れていきたいと考えています。3つ目は、運用体制の構築です。S/4HANAの知識が豊富な人財が多いUiPathとの協働により、ERPにはSAP S/4HANAを使用し、それらを活用するためのRPAにはUiPathを使用するという運用体制をさらに整備していきます」
UiPathでは、S/4HANA共通部品の提供、S/4HANAのラスト・ワンマイルの強化、さらに社内人財を活用したシステムの向上稼働への貢献を通して、お客様のSAP S/4HANAへの移行プロセスを、全社をあげて支援しています。コスト、エラーを大幅に削減しながら、品質を確保し、工期を守る、実効的な、安全な移行のお手伝いをするだけでなく、今後もSAP S/4HANAとの連携を強化し、SAPユーザーの皆様のデジタルトランスフォーメーションの推進にも貢献していきたいと思います。
UiPathには、自動化によりSAP S/4HANAへの移行を促進するソリューションがあります。UiPathを使ったSAP S/4 HANAへの移行に関するお問い合わせは下記からどうぞ。
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Topics:
SAPJapan, UiPath
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