お客様NTTコミュニケーションズ株式会社

業種通信

地方アジア太平洋&日本

AI-OCRとRPAの連携により、紙媒体を扱う業務60,000件/年の半数を自動化

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4,000+

年間4,000時間超の稼働削減

100%

支払処理の正確性

30,000+

紙請求書60,000件/年の半数を自動化

2017年にUiPathを初導入し、購買業務における年間60,000時間以上の効率化と30%のコスト削減を達成したNTTコミュニケーションズが、次なるプロジェクトを完了させた。AI-OCRにより紙の請求書を電子化し、RPAと連携するデジタル化された業務フローを構築。年間60,000件に及ぶ「紙媒体を扱う手作業」の半数以上を自動化することに成功している。

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CHALLENGE:紙媒体を扱う業務をいかに自動化するか

2019年に創業20周年を迎えたNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)が、全社を挙げてデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。これに先立つ2017年のUiPath導入で、「年間60,000時間以上の稼働削減」と「30%の生産性向上」を達成したプロキュアメント&ビリング部のチャレンジは、DXの成功事例として社内外から大きな注目を集めた。同部 戦略部門 担当課長の八木隆司氏は次のように話す。

「NTTグループ内外の環境は大きく変わりつつあります。私たちプロキュアメント&ビリング部は、戦略的な調達部門としての役割を高めるとともに、より高効率の調達オペレーションを追求していかねばなりません。具体的な取り組みのひとつとして、2019年7月にUiPathによる『自動化の第2段階』と言えるプロジェクトを完了させました」

NTT Comでは物品と役務を合わせて年間およそ7万件(2018年度)の調達を行っており、処理しなければならない支払の総数は年間21万件に達していた。NTT Comが運用する調達プラットフォーム上では、大口サプライヤーを中心に400社以上と結んで電子的な取引が行われている。しかし、これに接続できない企業の膨大な数の「紙の請求書」が残っていた。

八木氏らがUiPath導入で一貫して取り組んできたテーマは、『わずらわしい事務作業からの解放』である。「自動化の第2段階」では、年間60,000件に及ぶ「紙の請求書」をUiPathによる自動化プロセスに載せることで、契約・支払業務の更なる効率化とコスト削減を目指した。

「紙媒体を扱う作業は、2017年のUiPath導入で自動化を見送った領域のひとつ。スタッフが請求書を1件ずつ確認しながら、請求金額や契約IDなどを業務システムに登録する手順が残っていました。本プロジェクトでは、AI-OCRを導入して請求書の必要項目を電子化し、自動的にUiPathへ渡すプロセスを新たに構築しました」(八木氏)

UiPathと連携するAI-OCRにはABBYY社のFlexiCapture®を選定し、導入はデジタル改革推進部がプロキュアメント&ビリング部を全面的に支援する体制で進められた。

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SOLUTION:ABBYY FlexiCaptureをUiPathによる自動化プロセスに連携

NTT Comのデジタル改革推進部 情報システム部門は、調達プラットフォームや決裁ワークフローシステムといった共通基盤の開発を手がけるとともに、NTT Com自身のDXの推進役を担っている。同部門 担当課長の野澤直之氏は次のように話す。

「22組織におけるUiPath導入を支援していますが、プロキュアメント&ビリング部の取り組みが最も先進的で適用領域も広範です。その理由は明快で、取り扱い件数が最も多く、自動化で大きな成果が期待できる業務だからです。紙の請求書処理がUiPathによる自動化プロセスを実現すれば、完全なデータフロースルー化に向けた大きな前進となります」

見積から契約、請求に至る「調達オペレーションのサプライヤー連携」と「社内調達プロセスのフロースルー化」――この2つの軸を連動させるデジタル化されたプロセスが、プロキュアメント&ビリング部の描く理想像である。

「数多くのAI-OCR製品を様々な角度から検討し、最終的にFlexiCaptureを選定しました。FlexiCaptureを接続するためのコネクタがUiPathから無償で提供されていること、コストパフォーマンスに優れていたことが評価のポイントです」とデジタル改革推進部 情報システム部門の久保田圭介氏は話す。

ABBYY FlexiCaptureは、紙や画像・PDF上の情報を、業務システムで扱えるデータへ高精度に変換するAI-OCRソリューション。マルチ言語への対応、ドキュメント認識・分類の精度の高さには定評がある。コネクタを利用すれば、UiPathと連携する自動化されたワークフローを容易にかつ短期間で構築可能だ。だが課題もあった。

「紙の請求書を使用するサプライヤーは1,000社を大きく超えていました。企業ごとに異なる請求書フォーマットすべてに、FlexiCaptureを対応させることは現実的ではありません。そこで、全件の半数を占める上位30社、年間およそ30,000件から適用開始する方針としました」と

プロキュアメント&ビリング部 戦略部門 主査の森明彦氏は話す。

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BENEFIT:AI-OCRとRPAの連携で4,000時間/年を削減

FlexiCaptureとUiPathを連携させた自動化プロセスは、どのような形で実現されたのか。そして、どれだけの成果をもたらしただろうか。久保田氏は、AI-OCRとRPAの連携手順を次のように説明する。

「まずFlexiCaptureが、請求書PDFを格納するフォルダを定期的に参照してデータを生成します。正しくデータ化さ

れているか、スタッフの確認を経てからCSVファイルを出力します。UiPath OrchestratorがこのCSVをキューに自動格納し、スケジューラーまたはスタッフの判断でUiPathによる自動化プロセスを実行させます」

UiPath Orchestratorは、複数のUiPath Robotやシナリオを統合的に管理し、スケジューリングによる自動実行・無人運用を容易にする。また、キューを利用することで、大量のデータに対し複数のシナリオを適用しながら効率良く作業を実行させることが可能だ。

「当初目標とした紙の請求書全体の半数、およそ30,000件を自動化することにより、年間で4,000時間以上の工数削減につながりました。2017年の導入で達成した60,000時間の効率化と合わせて、UiPathによる自動化の成果をさらに高めることができたわけです」と八木氏は話す。

当初目標とした紙の請求書全体の半数、およそ30,000件を自動化することにより、年間で4,000時間以上の工数削減につながりました。2017年の導入で達成した60,000時間の効率化と合わせて、UiPathによる自動化の成果をさらに高めることができたわけです。

NTTコミュニケーションズ株式会社 プロキュアメント&ビリング部 戦略部門担当課長 八木 隆司 氏

NEXT:AIを活用し完全なデータフロースルー化を目指す

AI-OCRとRPAの連携ソリューションにより、プロキュアメント&ビリング部の契約センタ・支払センタ全体のプロセスは理想的な姿へ大きく近づいた。残るピースは「契約チェックや支払審査など、人の判断を伴う領域の自動化」(八木氏)である。

「2020年度は、人の判断を伴う領域にAIを活用するチャレンジを進めます。UiPathはAI製品との連携を積極的に進めているので期待は大きいですね。また、UiPath自身がAIテクノロジーを組み込んだ進化を指向していると聞いています。今後の展開が楽しみです」(野澤氏)

プロキュアメント&ビリング部では2015年より支払センタの統合や調達業務を支援する基盤システムの整備を進めてきたが、直近の5年間で実に7億円ものコスト削減を達成した。八木氏らはデジタル改革推進部と連携しながら、UiPathによる業務効率化・DX推進のノウハウをショーケース化し、NTTグループおよび顧客企業へ積極的に提案しているという。

最後に、八木氏が次のように語って締めくくった。

「業務改善や基盤システムの整備という取り組みの先に、RPA導入を実施したことが大きな成功要因でした。システム化が困難な現場業務にこそRPAの真価が発揮されます。UiPath導入で延べ64,000時間の効率化を達成しましたが、もし基盤システム整備の延長で同等の成果を目指していたら、何倍ものコストと時間を要していたことでしょう。UiPathは、業務のラストワンマイルに最適なソリューションであることを実感しています」

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